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徒然草気まま読み#121
「いないはずの人の手助け」
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今回扱うのは、第百一段。
全文をご紹介すると…
ある人、任大臣の節會の内辨〔節會の時、承明門内の諸事を掌る役〕を勤められけるに、内記〔中務省の官吏、詔敕を作り禁中の記事などを録す(*る)役〕のもちたる宣命〔任大臣の辭令をかいたみことのり〕を取らずして堂上せられにけり。きはまりなき失禮(しちらい)なれども、たちかへり取るべきにもあらず、思ひ煩はれけるに、六位の外記〔太政官の官大小公事の詔書奏文を案じ局中に記録する役〕康綱〔中原康綱〕、衣被の女房をかたらひて、かの宣命をもたせて、しのびやかに奉らせけり。いみじかりけり。
ある人が大臣に任命されて、
そのお祝いの格式ある宴が催される際に、
最も大切な大臣任命の辞令を書いた
みことのりを持たないで
宮中に参上してしまった。
大変な失態であるが、かといって、
今さら取りに帰るわけにもいかない。
この窮状を救ったのは、
「そこにいないはずの人」だった!